
山本一力さんの直木賞受賞作ですね。
何年前のことでしたっけ?
ズームインでかなり力を入れて特集していたのを思い出します。
あれから数年?
古本屋でふと目に留まったので買って読むことにしました。
最近ちょっと時代小説を読んだり、武士道に興味を持ったりしていたので。
あらすじも何にも知らずに読み始めたのですが、よくある時代小説、時代劇とはちょっと雰囲気が違います。
剣豪も岡っ引きも出てきませんし、家老の陰謀なんてのもありません。
上方から江戸の下町に出てきて店を構えた、豆腐職人の物語です。
ある暑い夏の日、江戸深川の長屋、新兵衛店の木戸に上方なまりの言葉をしゃべる大男が現れるところから話は始まる。
この大男がこの物語の主人公、永吉である。
上方から来た永吉が、長屋の桶屋の源治やその娘おふみ(その後妻になる)に助けられ、力を合わせながら、江戸の下町っ子の食べ慣れない京風豆腐屋を盛り立てていく。
最初はそういう話で、下町の人情や、江戸っ子のいなせな感じや、長屋の雰囲気など、ほのぼのとしながらも小気味良い展開で安心して面白く読めました。
が、長男が病気で死にかけ、その後、次男、長女が生まれる度に両親を事故で喪ってしまうという不幸に見舞われたおふみは少しずつ変わっていってしまう。
そこからだんだん家族はぎくしゃくして行き……
このあたりから、作者が話をどこへ進めようとしているのかがわからなくなってきました。
長男の栄太郎ばかりをえこひいきして可愛がり、次男の悟郎、長女のおきみに冷たくあたるおふみ。
案の定、甘ったれでわがままに育つ長男。
こうなった原因はわからないでもないんだけど、それでもこの愚かな母親ぶりにイライラしたり、釈然としなかったりしながら読み進んだのでした。
この物語は第一部と第二部にわかれていて、第一部では子供たちは黙して語りません。
子供たちがこの両親に対して、兄弟に対して、どのように感じ、どんな思いを抱いていたのかが語られるのは第二部からになります。
ここまで読み進んで少しだけほっとします。
救われたような気分になる。
「あのとき、おれはひとつ気づいた。夫婦といえども、同じことを考えているかどうかは分からない……ということさ」 うまく呑み込めないすみが、瞳を大きくして悟郎を見た。 「親父とおふくろとが、三人の子供に同じ思いを持っていたら、おれはきっと兄さんと一緒に豆腐屋がやれてた」 悟郎がすみから妹に目を移した。 「おまえだって、とっくに嫁に行ってたさ」
当たり前のことだけど、つまりはこういうことなのかなと、そこにこの話は落ち着くのかなと僕は思いました。
難しいことですけど、人が考えていることなんていくら夫婦でも完全に解るわけないと思うけれど、お互いわかりあおうと努力し、辛抱しないといけないんでしょうね。
んー、なんだかな。
もう数年、寝かせておいてまた読んでみようかなと思います。











