
アウトライナーのすゝめ
アウトライナー、あるいはアウトライン・プロセッサーというものを知っていますか?
僕は数年前にその存在を知ったのだけど、いまいち使い方がピンと来なくてその時は放置していました。
でも、最近読んだ千葉雅也さんの「勉強の哲学 来たるべきバカのために」の中の実践編でアウトライナーを勧めていて、それで、アウトライナーの存在を再認識したんですね。
早速、Tak. さんの「アウトライナー実践入門 ~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~」を読んでみたのですが、改めて読んでみたところ、これは使いこなしたら強力なツールになる!
と思い、今、実際に使い始めたところです。
アウトライナーとは
「アウトライナー」、または「アウトライン・プロセッサー」とも呼びますが、これはアウトラインを効率的に作成、編集する機能を持ったソフトの総称です。
そもそもアウトラインとは何かというと、英語で「Outline」とは「概要」「概略」「骨子」という意味です。
ここで言うアウトラインとは、具体的には「入れ子状になった箇条書き」のこと。
もともとは論理的な文章を書くための技法であり、文章を書く前に作成するものでした。
ここで勧めたいのは、アウトライナーを文章を書くためのアウトラインを作成するだけではなく、アウトラインを利用して「文章を書き、考える」ために使うということです。
アウトラインを利用して「文章を書き、考えること」を「アウトライン・プロセッシング」と言います。
重要なのは、文章を書くための手法に止まらず、考える手法としても使えるということです。
画像:アウトラインのサンプル
アウトライン・プロセッシングの技法
アウトライン操作を分類すると、5つの型が考えられます。
- リスティング(箇条書き)
- ブレイクダウン(細分化)
- グルーピング(分類)
- レベルアップ(階層を上がる)
- ソーティング(並べ替え)
つまり、箇条書きで思いついたこと、文章を書き出していき、書き出した項目の下の階層に構成要素を書き出していきます。
書き出した項目を分類し、上位階層の概念を考えます。細分化の逆です。
文章の流れ、ストーリー、優先度などによって、項目の順序を入れ替え、整理していきます。
この5つの型を繰り返しながら、考えをまとめたり、深めたり、文章を構成したりするわけです。
さらに、アウトライン・プロセッシングのアプローチとしては「トップダウン型」と「ボトムアップ型」の二つにわけられます。
トップダウン型は大項目から中項目、小項目、内容と文章構造から内容を埋めていくやり方です。
逆にボトムアップ型は文章の断片をまとめ、組み上げて文章の構造を作っていくやり方。
これはどちらが良いということではなく、また、どちらかの方法だけで完結するものでもありません。
トップダウンとボトムアップの両方を行き来しながら、アウトラインと内容を同時に成長させるのです。
「アウトライナー実践入門」ではこれを「シェイク」と呼んでいます。
文章を書く
アウトライナーを文章エディターとして使う。
これはアウトライナーの本来の使いかたともいえますね。
アウトラインを作成して、そこからブレイクダウンしていくことで内容を埋めていく形で書くこともできますし、
アウトラインを意識せずに、フリーライティングで思いついたままに書いていった文章の断片を、分解したり、まとめたり、入れ替えたりしてひとつのまとまった文章にすることもできます。
それなりの分量の文章を書く時にはかなり有効だと思います。
とりあえず、ブログ程度の文章量から練習していこうと思っていますが。
文章を読む
読みたい文章をアウトライナーに取り込むやり方が紹介されていました。
アウトライン化することで文章を構造化し、内容が効率的に把握できるようになります。
また、取り込んだアウトラインを組み替えて見ることで、新しい視点を見つけられると書かれています。
僕の考えでは、人の文章を分析するツールとして使うほかに、読みながら考えた自分の考えをまとめるツールとして使うのが有効ではないのかと思います。
読みながらいろんなことを考えるけれど、しばらくすると忘れてしまいます。
それを記録し、記録した考えをさらにシェイクすれば、もっと深い読みができるはずです。
ライフ・アウトライン
アウトライナーをタスク管理ツールとして使う方法です。
タスクを管理すると同時に、日々の思いつきを溜めていくツールとしても使います。
僕はこの使いみちに一番可能性を感じました。
「人生(ライフ)」と日々の「生活(ライフ)」とをリンクし、「現実の行動(タスク)」に落としていけるようなツールと手法です。
折に触れて浮かんでくる様々な思い、すぐに流れ去って消えてしまう考えをすくい取り、アウトライナーに箇条書きとして記録していきます。
ふと思いつく願望や欲望。馬鹿馬鹿しいと闇に葬り去ってしまいがちですが、その中に自分が本当にやりたいことの「ヒント」が隠されているんです。
そういうものをアウトラインとして残していく。
それらをシェイクしていくと、自分がどんな生き方をしたいのか、本当は何がしたいのかが浮かび上がってきます。
さらに浮かび上がってきた自分のやりたい生き方から振り返って、日々のタスクを考える。
何をすべきか、何をすべきでないのか。
時間は有限です。
自分の本当にやりたいことを見極めて、有効に時間は使いたい。
そのためのツールとして、アウトライン・プロセッシングはとても役に立つと思います。
ツール
最後に、実際に使えるアウトライナーを紹介しておきます。
WorkFrowly
おそらく一番ポピュラーなアウトライナーではないでしょうか?
クラウドなので、ブラウザで利用でき、様々な環境で使えます。
問題は、無料だと最大1ヶ月に250項目までしか、新規で項目を作れないことです。
真剣に使い始めたら、250項目なんてあっという間に使い切ってしまいます。
ただ、無料で気軽に使い始められるので、ためしにやってみようという人にはおすすめです。
また、招待リンクから登録すると、倍の500項目に増えます。
なお、招待した側も250項目増えるので、よかったら下のリンクから登録お願いします(笑)
Cloud Outliner
WorkFrowlyではちょっと書ける項目が少なすぎたので、何か別にないかと思って見つけたのがこれです。
iOS, macアプリがあり、アプリを購入すればそれ以上はお金がかからず、無制限に使えます。
iCloudでそれぞれの端末間で同期可能ですし、Evernoteと同期可能です。
デザインもシンプルで綺麗なので、使いたくなるところもいいです。
2017/4/28現在でAppleStoreでmac版のセールをやっています。
¥120とお買い得ですので、安いうちにどうぞ。