
一汁一菜でよいという提案 – 土井善晴 –
「一汁一菜でよいという提案」という本、だいぶ前に読んだんですが、今更ながら感想です。
「きょうの料理」などテレビや雑誌でも有名な料理研究家の土井善晴さんが書かれた本ですね。
レシピ本ではなく、エッセーのような内容になっています。
この本のタイトルがいいなと思うのは、強制ではなくて「提案」というのと、一汁一菜「が」よいではなくて、一汁一菜「で」よいと言っているところですね。
基本的に原理主義が嫌いなんです。
昔から多いじゃないですか?
何か特定の食べ物を食べれば健康になるとか、白い食べ物は悪だとか、糖質がダメだとか、肉や魚はダメだとか何だとか。
そういうの、信じてないし、好きになれないんですよね。
あれはダメ、これはダメ、毎日の料理の手抜きもダメ、夕食にはおかずを3品以上作んなきゃ母親失格だとか、そういう無駄なプレッシャーを一度忘れて、一汁一菜という原点に戻ってみませんか?
と、土井さんは提案しているんですね。
ご飯と具沢山味噌汁だけでいいんじゃないの?
僕の母親は専業主婦だったんですけど、本当に毎日毎日、主菜におかず数品、汁物としっかりした食卓を用意してくれていて、本当に感謝しているんですが、大変だったろうなとも思います。
ま、実際、毎日の献立を考えるのが大変だって愚痴はよく聞かされてましたしね(笑)
実家がそんな感じだったので、一人暮らしを始めてからも自炊して、いろんな種類のおかずを作ってみたりしましたが、それなりに大変です。
週末に食材を買い込んで、一週間分のおかずをいっぺんに作り置きしてみたりして。
おかげで、90分で4〜5品のおかずを作る技とか覚えましたけど。
うちの親世代のように、バブル世代で専業主婦でっていうならまだしも、今の時代は働きながら子供を育てて、家事もやって、となると、正直料理が負担になるのは確かだろうなと思います。
実際、この本はそういう人に向けて、もっと気楽に構えていいんですよというメッセージを送っていて、レビューを見ても、そのメッセージに救われたという人が多いですね。
ぶっちゃけですけど、僕ももうアラフォーだし、プログラマーなので、基本デスクワークで座りっぱなしですし、そんなにカロリー取らなくてもいいんですよね。
お昼は外食が多いので、肉も魚も油もがっつり取ることが多いし。
そうなると、夕食はご飯と具沢山味噌汁と副菜一品くらいで、全然いいなと思ったんです。
同世代でもけっこう多いんじゃないかなと思うんです。
普段そこまで運動もしないし、年齢的に基礎代謝も落ちてきているのに、食べる量は変わらなくて、太っちゃったって人。
基本的にダイエットって、(摂取カロリー) ー (消費カロリー)がマイナスなら痩せるっていう単純計算なので、調整しやすい夕食を軽くするのはいい習慣じゃないでしょうか?
自炊の負担も軽くなるし。
毎日の夕食がパーティーじゃなくていい
海外旅行をして外国に行ってみるとわかると思いますが、日本の食文化って異常なほどすごいです。
なにせ和食だけでなく、中華、イタリアン、インド、韓国、タイ、ベトナム、アメリカなどなど、世界中の料理が食べられるんですから。
しかも、レストランだけでなく、家庭料理でも中華料理やパスタや洋食、あらゆるジャンルの料理が出てきます。
日本以外の国ではそうそう無いんじゃないかと思うんですが、どうでしょう?
日本には「ハレ」と「ケ」という考え方があります。
簡単にいうと、「ハレ」は非日常、「ケ」は日常のことです。
毎日、違う献立で、新しいレシピを探して作って、食卓に並べるというのは、毎日パーティー料理を作っているようなものです。
毎日が「ハレ」の日になっているということで、毎日が非日常だと、逆に「非日常」の特別な日がわからなくなってしまいます。
「ケ」の日常は、一汁一菜を基本としたものにして、余裕があるときや特別な日(ハレの日)にご馳走を作れば、
おおっ!今日はご馳走だ!
って、なりますよね?
そういうのって、大事だなと思います。
それに、毎日毎日献立を考えて料理するのが大変で、嫌だなぁ、疲れたなぁと思いながら、豪華な料理を作るより、ご飯と味噌汁の基本形に、今日は秋刀魚が安かったからとか、ちょっと余裕があるから、ハンバーグを作ってあげたら子供は喜ぶんじゃないかとか、そういう風に作った方が、お互いのためにいいんじゃないかという土井さんの考えには共感します。
自分に余裕がないと、相手のことを思いやる余裕なんてなくなるんですよね。
ご飯と味噌汁は飽きない
そんなわけで、ここ数ヶ月、一汁一菜を実践してみているわけですが、自炊は楽になりました。
休みの日に、味噌汁の具になりそうな野菜と、豆腐や練り物や肉類を買っておいて、適当に切ったらジップロックに入れて冷凍してしまいます。
それで、作るときは食べたいだけの水を計って沸かして、冷凍しておいた具を入れて、煮えたら味噌を溶いて終わりです。
15分もかからない。
その間に、これも冷凍しておいたご飯をチンして、漬物と合わせて食卓に並べれば一丁あがり。
味噌もちょっと手抜きしてだし入り味噌にすれば、だしなんか取らなくてもいいし楽チンで美味しいですよ。
毎日、ご飯と味噌汁で飽きるんじゃないかと思われるかもしれませんが、意外に飽きません。
土井さんも言ってますが、味噌汁の具は何でもいいので、色々変えられますし、同じ具でも、日によって味が変わりますから。
だいたい、味噌や具の量なんて目分量ですし、濃くなったり、薄くなったり、美味しかったり、イマイチだったり、色々楽しめます。
最近作ったのはこんな感じ。
この本には、食育の話や、和食の楽しみ方、など興味深い話題が他にもたくさん書かれています。
もし、興味があったら是非読んでみてください。
インタビューのリンクも貼っておきますので、こちらも読んでみてください。